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ひとりごと

      6 院展に応募して
5 初めて個展を開いて
4 毎朝のスケッチ
3 日本画に魅せられて
2 絵を画くとはどういうことか
1 部分は全体に等しい





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6 院展に応募して

昨年(08年)、腕試しのつもりで93回院展に応募し、思いがけずに入選しました。
自分流に、試行錯誤で進めてきた日本画が認められたことは大きな自信になりました。
見る人に共感を得られる絵であれば、入選できるということを知ったことも大きな喜びでした。
また、その年の月刊雑誌「美術の窓」11月号の「公募展便り」に掲載されました。
しかし、今年(09年)は見事に落選でした。
入選レベルの絵を続けられてこそ本物で、入選することの難しさを改めて思い知らされました。
実は在職中、日展に応募しようし、150号の大きさに負け、描いている途中で挫折したことがあります。仕事をしながら 大作を描きつづけていく人は本当に大したものだと思います。
秋野不矩先生の対話講座「日本画を語る」(なにわ塾叢書 33)は、受講者との対話形式で 画家としての半生、考え方が語られており、何度も読み返しました。
私などは努力がまだまだです。
秋野先生の言葉「だいたい絵描きは我流でいいんですからね、アマチュアでいいんです。 そういう態度で自分の絵を描いていく。‥‥」を支えに、これからも描いていきたいと思っています。

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5 初めて個展を開いて

2007年7月1日より7日まで個展を行いました。
公苑の会の方々のご支援のおかげで、開催期間中、文京区の方々を中心に1050人以上の来場者がありました。
終了後、芳名録より礼状を出したところ、6通の暖かい励ましの返事が戻ってきました。 そのうちの1通に「クリーム色のバラの絵がなんとも亡き母に会った様でした。 ありがとうございました。」と書かれていました。
今まで、絵を描くということはあくまでも自分のためで、 他の人との関わりをそれほど考えていませんでしたが、人のお役に立つこともあるということを知りました。
個展を開いてみて、絵を描くことの別の面を見せてもらい、描くことの楽しさが少し広がったように感じました。 6通の葉書は大事な宝物です。
絵は、本当に、筆を置いたときから、自分のものではなくなるものなのですね。

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4 毎朝のスケッチ

何事も10年続けると多少は物になると言います。5000時間という言葉を聞いたこともあります。
50歳を迎える年の正月、60歳まで残された時間は10年、若い時に少しかじった「日本画」に本腰を入れようと、 毎日スケッチをすることにしました。
描くのは、一日のうちで確実に時間が取れる出勤前に決めました。
たまたま、幸いなことに、職場近くで本郷給水所公苑のバラ園を見つけました。
春から秋は「バラの花」を、冬は「本郷界隈の町並み」を描くことにし、画材は、手軽に描ける色鉛筆を使用しすることにしました。
公苑が開く朝の7:00から8:30まで毎朝続けました。時には雨の日も傘を差しながら‥‥。
5,6年経った頃に、公苑で仲間ができるようになりました。 散歩と体操のK社長(現会長)、ウオーキングのY夫妻、Yさん、Iさん、散歩と詩吟の発声練習のOさん‥‥‥。
毎朝、挨拶をするようになり、時には絵を画いている時間より話をしている時間の方が長くなることもありました。 私も仲間の方々と顔を合わせるのが楽しみに、公苑にくるようになりました。
ウオーキングのY夫妻のご主人のお声掛かりで「公苑の会」が発足、年に2回懇親会を開いたりして交流が深まりました。
その内、個展の話が持ち上がり、その声に押され、私もお世話になったここで定年前に個展をし、本郷界隈の方々に絵を見てもらうのも いいのではないかと思うようになりました。
運よく、公苑の近くの文京シビックセンタの展示室を借りることができ、 ここで、2007年7月1日より7日まで個展を行いました。個展開催に当たっては、公苑の会の方々に案内状を配布して貰ったり、 展示を手伝ってもらったり、祝賀会まで開いてていただきました。 お蔭様で、1週間で1050名以上の来場者を迎えることができました。
定年後、公苑にいくことは殆んどなくなりましたが、公苑の会の方々とのお付き合いは今も続いています。
一つのことを愚直に続けていると、いつの間にか人の輪ができ、自分の思わない方向に進んでいく、 不思議で、本当に貴重な体験をいたしました。

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3 日本画に魅せられて

子供の頃から絵が好きで、学生時代には「油絵」「水彩画」を少々たしなんでいました。
就職後、日本画の展覧会で見た、砂にような絵の具で描かれたマットな風合いが、 自分の気持ちにすっと素直に入っていけ、どうしても描きたくなりました。 書店で日本画の本を買い求めましたが中々絵の具が使いこなせなくて、 買い続けるうちにいつの間にか10数冊になりました。購入した本を列記しますと‥‥。

●日本画の技法/美術出版社/吉岡堅二・福田豊四郎・東山魁夷・上村松篁・橋本明治
●アトリエNo.580・日本画を始める人へ/アトリエ出版社/遠藤善丸
●アトリエNo.607・日本画の描き方・花鳥 山水 人物/アトリエ出版社
●日本画・入門から大作まで/日貿出版社/依岡慶樹
●現代日本画入門/杉山書店/遠藤善丸
●新技法シリーズ・日本画の制作/美術出版社/三谷十糸子
●新技法シリーズ・日本画の写生/美術出版社/守屋多々志
●日本画技法講座・花を描く/日本放送出版協会
●日本画技法講座・動物を描く/日本放送出版協会
●日本画技法講座・人物を描く/日本放送出版協会
●NHK趣味悠々・上村淳之の始めよう日本画/日本放送出版協会
●NHK趣味悠々・花を描く・中島千波の日本画講座/日本放送出版協会
●人気作家に学ぶ日本画の技法・花を描く/角川書店/林潤一

この他にビデオを購入しました。
●日本画入門・花を描いてみよう/視覚デザイン研究所/中島千波

日本放送出版協会から出版されている「日本画技法講座」はよく読みました。中でも「花を描く」は、水張り、裏打ち、ドウサ引き等、 日本画に基本的に必要なことが、手順を追って写真入で丁寧に説明されており、大変役立ちました。また、コラム「わたしの画家修業」も 何度も読み返しました。松本先生の美術学校には行かず独学で日本画を習得、院展に入選した話、那波多目先生の、『仕事をしながら絵を画いている時期に、松尾先生から「毎日少しの時間でいいから、必ず 筆をとりなさい」との言葉を実行し、苦しくても毎日必ず筆をとるということが、上手になれるということではなく、描くことに粘りが出る、 意志が強くなるということだと思います。』との話に、強く励まされました。
日本画の基本をこの目で確かめようと、カルチャーセンターにも通いましたが、基本的な作業を覚えた時点でやめました。 日本画の本を読むと、先生方により描き方が異なり、それぞれ工夫されて描いていられます。 絵は人に習うものではないと考えることにしました。
日本画は、画材が全て素材の状態にあるため、紙にドウサを引き、裏打ち、パネル張り、絵の具を溶くための膠水を作りといった 作業があり、慣れるまで多少手間が掛かり、油絵の様に画材を揃えると直ぐにでも描けるといった手軽さはありませんが、 その分、自分でいろいろと工夫でき、奥が深いように思います。
自己流で、日本画を先生について習った経験ありませんが、定年を迎える十年前より、毎朝のスケッチと併せ、 所沢市美術展に出品するようになりました。この時の、審査員の先生方の批評が大変勉強になっています。

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2 絵を画くとはどういうことか

若いときから、日本画をやってみたいと思っていました。
定年後には本腰を入れてやってみよう。絵の基本は何と言ってもデッザン力、そのためには毎日スケッチを続けること、 何事も10年……と、50歳になる正月に一念発起。しかし、何となく絵を画いても、続けていくことは中々難しい。 「じゃ、自分にとって絵をかくとはどういうことか。」納得しておく必要があると思いました。

デザインでは、先ず最初に「デザインコンセプト(基本方針)」をたて、クライアント側に説明、 コンセンサスを得た上で、作業を開始します。 では、私にとって、「絵」とは何か、自分に問いかけました。

●一つ目は、「技術」。デッサン力や、絵の具や筆を自由に使いこなせる描写技術。
●二つ目は、「智恵」。独創的な構想力、独自の技法開発力。
●三つ目は、「心」。人柄、人間性。
三つが重なり合っている、そんな形をイメージしました。

対象が、「もの」から「自分の心」に代わっただけで、デザインと同じではないか。
いや、描くことを通して自分の心と対話する作業で、描く人の心が大きく影響する。
中々手強いな、と一人で納得したしだいです。

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1 部分は全体に等しい

その昔、学生時代、叔父が蔵書を整理する際に入手した、「ガモフ全集-1,2,3…無限大(Gガモフ・薯)」に 無限大の大きさの比較の話が載っていました。
一つずつ対応させると余ったほうが大きいことがと解ります。整数を例に、整数全体(1,2,3…)の数と偶数全体(2,4,6…)の数を 対応させると「1と2」「2と4」「3と6」…「52と104」…、といつまででも対応していくため整数と偶数の数は同数で、「無限数においては、 部分は全体に等しい。」と説明されていました。 狐につままれたようで何度も読み返した記憶があります。
在職中はデザイン関係の仕事に携わっており、これも古い話になりますが、トヨタ車の「ソアラ」のデザイン開発に関する記事で、 当時、市場では国内車のインテリアデザインは若者向けが殆んどで、「ソアラ」は、中高年代層をターゲットに一クラス上の落ち着いた デザインを目ざし、それが逆に若者にも受け、ヒット商品となったというようなことを読んだ記憶があります。
製品の顧客ターゲットを絞り込むことにより、本質が明確になり、独創的で、幅広い世代に共感をよぶデザインができる……。 無限大を普遍性と置き換えると、無限大の数の話と同じで、まさに「部分は全体に等しい。」 と一人納得し、その後、顧客ターゲットの明確化に力を入れるようになりました。
絵の世界についても然り、 自分の内面をとことん追求した絵は、普遍性を持ち、見る人にも、共感を持ってもらえるのではないでしょうか。
「無限の世界では、部分は全体に等しい。」
なかなか、面白い言葉だと思っています。
ただ、無限大にも大小があるとのこと、詳しくは本で……。

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